日本国憲法 第23条

      学問の自由 は、これを 保証する。

            The Constitution of Japan, Article 23

             Academic Freedom is Guaranteed.


                     A Prelude 序曲:最高裁への陳述書

      同 志社にみる大学院教育の崩壊


     同志社大学 学問の自由 侵害訴訟

     −平成28年(ワ)第2572号 損害賠償請求事件−

                           (原告の主張) 

2016(平成28)年
 5月30日
  神戸地方裁判所洲 本支部
   訴状

2016(平成28)年
 8月3日
  神戸地裁から京都 地方裁判所に
   移送決定

2017(平成29)年
 1月18日
  準備書面 1 
  「学 問の自 由」は 私立大学を含む全ての大学教員に保障されていること      

2017(平成29)年
 1月20日
  準備書面 2
 利 潤優先のための 専門外科目担当強要による学問の自由の侵害

2017(平成29)年
 1月23日
   準備書面 3
 手 続き違反の科目 担当外しによる学問の自由の侵害
キ ム・ワレン博士
(国際SD学会元会長)
(甲第35号証の2)
2017(平成29)年
 3月2日
   準備書面 4
 近 藤まり(現、飯 塚まり)教授の差別発言による学問の自由侵害

  同志社ビジネススクールへの 国 費留学院生Aさんの陳述書
近 藤まり教授への公開質問状 
「偏った経済学」とは
何ですか?(未回答)
(甲第16号証)
2017(平成29)年
 3月3日
   準備書面 5
  浜矩 子研究科 長の違法「8コマルール」適用による学問の自由侵害

2017(平成29)年
 3月6日
   準備書面 6
 浜 矩子研究科長の 教授会誤導による学問の自由の侵害

2017(平成29)年
 3月7日
   準備書面 7
 浜 矩子研究科 長の博士課程担当依頼握りつぶしによる学問の自由侵害

 TIM(技術・革新的経営)博士課程
  留学院生(自国政府奨学金)B さんの陳述書(甲第10号証)
  国内院生 C さんの陳述書(甲第11号証)、D さん の陳述書(甲第12号証)

 


 留学生、院生への
 学問の自由侵害
2017(平成29)年
 4月14日
   準備書面 8
 学 校法人同志 社による「学問の自由権確保義務」違反による損害賠償責任
デ ニス・クシニッチ
(米国議会元議員)
(甲第34号証の2)
2017(平成29)年
 6月5日
   準備書面 9
  「学 問の自由 権確保義務」違反についての整理

2017 (平成29)年
9月20日
  準備書面 10
 被 告準備書面 (1)に対す る求釈明(その1)
 近藤(現、飯塚)まり教授
 への求釈明等
2017 (平成29)年
9月28日
  準備書面 11
 被 告準備書面 (1)に対す る求釈明(その2)
 浜矩子教授及び八田英二学長
 への求釈明
2018(平 成30) 年
1月26日
 準備書面 12
 こ れまでの被告の 答弁書・準備書面に対する反論と求釈明(その1)

  原告教授の陳述書
 陳 述書1(甲第37号証)、陳 述書2(甲第38号証)、
 陳 述書3(甲第39号証)、陳 述書4(甲第40号証)、
 陳 述書5(甲第41号証、大阪高裁甲第29号証)、
 最 高裁への陳述書(甲第42号証)


近藤(現、飯塚)まり教授らの
学問の自由侵害への再求釈明等

2018(平 成30) 年
2月6日
 準備書面 13
 こ れまでの被告の 答弁書・準備書面に対する反論と求釈明(その2)

浜矩子 教授及び八田英二学長への
 学問の自由侵害への再求釈明

2018(平成30) 年
  4月11日

 準備書面 14
 主 張の整理(その 1)
原告主張 (1) (2) (3) (5) の整理

2018(平成30) 年
  4月16日 
 準備書面 15
 主 張の整理(その 2)
原告主張 (4) (6) (7) の整理
八田英二学長の不作為
2018(平成30) 年
  8月16日 
 準備書面 16
 主 張整理案1に対 する意見 および 同準備書面に関連する乙 第54号証

 ビジネス経済学は原告が2004年のビジネス研究科開学以来、9年間(2012年現在)にわたって講義しており、専門中の専門 科目である。 2009年の グローバルMBA(英語)の開始に伴い、原告は同内容の英語版講義も担当した。しかるに2010年に途中採用の近藤まり(現 飯塚まり)教授が、突如、原告に上の乙第54号証のメールを一方的に送りつけ、講義担当を強制的に外した。原告との事前協議や講義内容の確認等が 全くな かったので、原告は、この不当科目外しを教授会で審議するように要望したが、浜矩子研究科長は、この科目適合性等の審議を頑なに拒否した。そこで 原告は八 田英二学長に再三にわたって審議要望をしたが、ことごとく無視された。こんなあからさまな「学問の自由」の弾圧が同志社大学で大学ぐるみで行われ たのであ る。
 
 裁判所の主張整理案についての
 原告意見
2018(平成30) 年
  12月6日 
 証 拠申請書
以下の4名の証人尋問を申出
・八田 英二 元学長
・浜 矩子 元ビジネス研究科長
・近藤 まり(現 飯塚まり)元ビジネス研究科国際プログラム委員長
・中田 喜文 元総合政策科学研究科TIM先行主任

2019年(平成31年)2月21日
 同 志社に於ける「学問の自由」侵害の真相解明について
  トルコ国立アンカラ社会科学大学教授の陳述書

 準備書面 17 ー 人証についてー

2019年(平成31年)7月25日  同志社ビジネス研究科におけるストレスの日々:
 文部科学省の国費留学生 Eさんの陳述書
甲第 57証の1(英 文)甲第 57証の2(訳)
 国費留学生への
 学問の自由侵害


                         (原告の主張整理)

9 主張整理

                      

  京 都地裁第一審判決:令和2年(2020年)3月10日

                   裁判長 藤田 昌宏
                     裁判官 上田 瞳
                   裁判官 伊藤 渉

 原告はこの「同志社大学の学問の自由侵害」訴訟で勝敗にはあまり拘らず、日本の裁判所が大学に於ける学問の自由侵害に対して、
どのように判断するのかを最大の関心事としてきました。しかるに3名の裁判官は、原告の7つの主張に正々堂々と判断するという
裁判官としての任務をことごとく放棄したのです。彼らは職場放棄、敵前逃亡の失格裁判官でした。彼らの職場放棄の醜さは日本の
法曹界で今後末長く記憶されてゆくことでしょう。


大 阪高裁 控訴理由書:令和2年(2020年)6月3日

 では京都地裁の3名の裁判官が判断をスルー(遺漏)した学問の自由侵害に関する争点とは何か。
大阪高裁への控訴理由書(ダウンロード)にそれらを簡潔にまとめました。
果たして日本の大学には憲法第23条(学問の自由は、これを保証する。)が保証する学問の自由はあるのだろうか。
大阪高裁の控訴審に注目してゆきましょう。



最 高裁判所 上告受理申立 理由書 令和3年(2021年)3月 15日

2013年2月からまる8年に及ぶ法廷闘争の最終場面となりました。その間本訴訟を継続・サポートしていただきました皆さんに
改めて感謝申し上げます。
今回、以下の3点について最終判断を最高裁に求めることにしました。

 (1)ゲストスピーカーによる単独講義・成績評価は、憲法23条「学問の自由」違反である。
 (2)教授会の審議を経ない講義科目・研究指導外しは、憲法23条「学問の自由」違反である。
 (3)大学院博士過程の指導を途中で一方的に中止するのは、憲法23条「学問の自由」違反である。


最 高裁判所 上告棄却・上告審不受理 令和3年(2021年)6月 18日

                             裁判長 裁判官   菅野 博之
              裁判官   三浦 守
              裁判官 草野 耕一
                                         裁判官 岡村 和美


原告弁護士判決コメント(同年6月24日、アンカラ社会科学大学(トルコ)にてメール受信)

山 口先生

 

最 高裁は、上告却下の際にはその判断プロセス・思考過程を示すことなく「三行半」としますので、その真意はわかりません。

もっ とも通常は一審からの訴訟記録をつぶさに精査し、過去の判例学説や社会情勢なども踏まえて内部では検討をしていると言われてはいます。

徹 底的に検討した結果、「三行半」となっている事案もあります。

(そ の判断過程・思考過程が公とならずにお蔵入りする点は社会的にみても損失です)。

 

本 件では、大学・学問をめぐる係争ですので、常に「学問の自由」「教授の自由」と隣り合わせです。他方で、「大学の自治」とも隣り合わせです。

憲 法判断になじまないということは考えにくいのですが、、、

 

最 高裁が、何らかの判断を積極的に示す(同種の事案で下級審で判断がわかれている、社会的耳目を集めているなど)と考えない限り、定型文の「三行 半」となります。

本 件では、旧学校教育法のもとでの事案であること(その後、改正法では教授会自治は弱められ、学長の権限が強化された)、大学とは言え、一組織内部 での「コップの中の嵐」ともみることはできること、などから積極判断をあえてする事案では無いとみられたのかもしれません。ここもわかりません。

 

山 口先生が、いつもおっしゃる結論はともかく憲法判断を仰ぎたい、という積極姿勢とは反対に、司法は憲法を持ち出すことについてはすこぶる消極的で す(憲法判断回避のルールというものもあります)。係争の多くを、憲法問題ではなく、一般の法令の争いであり最高裁が扱う事案では無いとして消極 姿勢が原則になっています。

 

そ こに、表だっては出てきませんが「大学の自治」の問題、大学内の問題は大学内で解決せよ、その解決がおかしい場合でもそれはそこまでの話だ、外部 機関・国家権力が介入すべきではない、という考慮もあるのかもしれません。

 

上 記はすべて憶測ですので何とも言えませんが、、、

 

と もかく、一つ一つのテーマを明確にしてじっくりと裁判所に判断を迫ってきたので残念です。

 

 

弁 護士 辰巳 裕規

原告コメント

 「偏った経済学を教えている」と批判されて、原告は2013年3月に突如一方的に大学院を追放 さ れました。その後、あらゆる機会をとらえて、日本における「学問の自由」の重要性を著書等で訴えてきました。例えば、「公共貨幣」東洋経済新報社(2015 年)7ページや「公共貨幣入門」集英社インターナショナル新書(2021年)273ページ等で。以来、司法の場で8年3ヶ月の長きにわたって争ってきました が、 この度、最高裁判所は原告の訴えを門前払いとしました。憲法の番人である最高裁判所が、憲法第23条「学問の自由の保障」についての判断を回避し、敵前逃亡し たのです。この4名の裁判官の名前を末永く記憶しておきましょう。

 日本の高等教育におけるこの最高裁上告棄却の長期的インパクトは甚大です。教員資格のないゲス ト に講義や成績評価を依頼してもいいのか、講義科目は大学執行部が一方的に決めてもいいのか、研究指導教官を途中で一方的に交代させてもいいのかといった、研究 教育の根幹にかかわる具体的な3つのイシューについて、最高裁は憲法判断しなかった(間接的に容認した)のです。高裁に「差戻し」もしなかったのです。

 この結果、日本の高等教育は憲法無視で何でもありきの「バナナ共和国」のような混沌とした状態 に投げ出され ました。研究者・教育者の研究・教育の自由が保障されない高等教育は衰退し、それに伴って日本の学問レベルも衰退するのは必然です。この4名の最高裁裁判官の 職場放棄・敵前逃亡はかように深刻なのです。

 その後原告は、幸いにも国立アンカラ社会科学大学(トルコ)大学院に招聘され、修士・博 士課程で「偏った経済学」を講義できる「学問の自由」を得ました。「捨てる神あれば拾う神あり」というまさに天の采配がなされたのです。トルコへの感謝の気持ちを込めて、 同大学院での研究・講義に立脚した「公 共貨幣(偏った経済学?)」の一般書(英文)を目下執筆中です。


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