以下は、「淡路UU21だより」新春号(1999年1月1日)に掲載された20XX年未来の五色町からのレポートです。


五色町の皆さん

新年あけましておめでとうございます。


私たち、淡路UU21平安の郷づくり協会は、兵庫県の「淡路島公園島構想」に沿って、淡路島・五色町地域を持続可能 (Sustainable) で緑豊かな新しいふるさとづりりの世界的モデルにしようという五色町内のボランティアが集まって、明石海峡大橋開通記念日の平成10年4月5日に設立されました。
UUは梅(Ume)と鶯(Uguisu)、21は21世紀、及び21歳の青春 (Young at Heart) 、平安は菅原道真の平安時代ののどかな自然の風情をそれぞれ表現しています。日本人が失った「心のふるさと」と「21世紀未来の夢」を同時に五色町に創り出そうという願いがこめられています。
こうしたボランティア活動を支援するための、国の特定非営利活動促進法が昨年12月1日から施行され、私たちは、兵庫県特定非営利活動法人として広くこの活動を展開すべく、目下その認証申請を準備中です。法人となる最大のメリットは、山林や田畑等の財産管理や、収益事業を行うことが出来ることです。

おじいちゃん、おばあちゃんありがとう


今日はめでたいお正月でもありますので、私たちが住む21世紀未来の五色町に皆さんをご案内しましょう。レポーター:五色ユー太 & ユー子です。


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20XX年1月1日 私たちは今、都志未来広場(昔の都志港)にいます。この未来広場は元旦から多くの人々でにぎわっています。この広場へのお正月特別アクセスは、毎年恒例となっている京の都から淀川を船で下って明石海峡を越えてくる菅原道真の901年(平安時代、延喜1年)の太宰府左遷にちなんだ道真海上ルートです。この未来広場を訪れる客のお目当ては、ここの未来博物館に初詣し、新しい年のビジョンを描くことであり、さらに瀬戸内海の新鮮な魚介類や五色町の豊かな田畑でとれる無農薬の野菜を広場の高級レストランで楽しむサンセットディナーです。近年、元旦のご来光とともに、サンセットを眺めることも静かなブームとなっており、ここ淡路島五色町の西海岸は格好のお正月スポットとなっており、都志未来広場はその中心です。

蛍舞う都志川清流

さて、この広場からは「淡路UU21平安の郷」への散策コースが始まっています。まず、ウエルネスパークへは、モノレールやサイクリング道が通じています。さらに全国的に有名な自然木の「道真遊歩道」は都志川に沿って、五色健康道場を結びつつ、鮎原河上天満宮から三野畑の白巣城へと続き、淡路富士といわれる先山頂上までずーと伸びています。特に、お正月から梅の咲く頃、およびウグイスが競演する季節にかけてこの道真遊歩道は「日本人の心のふるさとへの回帰路」として大人気となります。道真遊歩道に沿って、梅林を始め、竹林、花のガーデン、ハーブ園、イングルッシュガーデンが点在し、夜は、太陽電池によるライトアップが実に幽玄的な素晴らしい雰囲気を醸しだしています。アウトドア用のログハウスの宿泊施設も完備し、都志川の清流に住む鮎を釣ったり掴み取りをしたりすることもでき、またその鮎を近くの茶店に持ち込んで鮎料理に舌包みを打つのも大きな楽しみです。都志川がこんな清流になったのも、川に流し込む生活雑水は、すべて高性能合併浄化槽で金魚が住める3ppmレベルまで浄化して、鮎やホタルが戻ってこれるようにするしてくれた私たちの曾爺ちゃんや婆ちゃんのおかげです。
道真遊歩道を鮎原吉田地区周辺までのぼると、そこら一帯は急に広々とした田園地帯が広がり、その中を流れる都志川の川辺には、常時川遊び、水遊びが出来る空間となっており、子供連れで遊べるのようになっているのが魅力的です。遊歩道に沿って点在するお店には、梅やウグイスに関連したUUグッズ(ウグイス梅酒、梅健康食品、ウグイスまんじゅう、T−シャツ、万葉みそ・醤油等々)が、地元特産品として販売されています。

全国に知られるウグイスの森


釜ヶ淵キャニオンの渓谷美を眺めながらさらに都志川を上流に向かって散策してくると間もなく、鮎原の河上天満宮にたどり着きます。数年に一度、ここで開催される北野天満宮や太宰府との共催による天神さんサミットで一躍全国に知られるようになった天満宮であり、この天満宮の合格祈願の絵馬をいただくと、受験合格間違いなしとのことで、入試期間中には全国から受験者が殺到してきます。この天満宮の後背には梅とウグイスの「県立淡路UU21公園」があります。かつて天神山と呼ばれた一帯です。数十年前この山を削って宅地開発をするという計画が持ち上がったそうですが、町民の猛反対で今の形に整備・保存されたものです。この結果この天神山は後世の町民に数多くの自然の恵みをもたらしてくれることになりました。この天神山はかつて菅原道真が太宰府に左遷される折り、望郷の念にかられて「京の都が見える」と地元の民からいわれて都を志し登ったといわれる山であり、今では、その頂きに立ち瀬戸内海を眺望すれば都を志すような大きな希望がかなうということで、お正月1番の人気スポットとなり、頂上まで行列が出来るほどです。この公園内には、ウグイス資料館もあり、マルチメディアによるウグイスの生態系を紹介する映像サウンドが有名ですが、なんといってもこの付近一帯で楽しめる自然のウグイスのリアルサウンドによる競演には及びません。日本野鳥の会の協力を得て、毎年春に「ウグイス・コンサート in アイハラ」が河上天満宮境内で開催されており、全国から収録したウグイスの鳴き声のコンペ・コンサートが行われるのです。また、このウグイスサウンドは安らぎのバードソングのCDとしてひろく世界中に販売されています。
さらに健脚の人は、三野畑の白巣城趾に立って一息いれ、淡路富士の先山まで歩くとよい。途中の塔下地区のイチゴ園、果樹園(オーチャッド・ガーデン)は見事です。そこを過ぎると間もなく淡路富士の森林浴が楽しめます。夏になると蛍が乱舞する場所でもあります。淡路富士の頂上からは360度の眺望が楽しめます。

ここは誰もが住みたい「地球村」


このように淡路UU21平安の郷で全国に知られる五色町は、まさに町全体が公園となり、公園の中にある町といった感じです。町の農家は「UU21平安の宿」として、年中都会から訪れる人々に家庭的暖かさのある宿を提供しています。こうして農家には都会からの援農、野菜作り、花づくりをかねた人たちで年中活気を呈していっます。町中は幹線道路以外自動車ドライブ禁止となり、人々は電気自転車で移動していますが、町は至る所、農道もサイクリングロードとして整備されており、実に静かで環境に優しい街です。かつてカリフォルニア州の大学町デービスが「銀輪の町」として知られたことがありましたが、五色町もサイクリング健康を増進する「銀輪の町」として知られるようになってます。農家は全て光ファイバーのネットワークで結ばれているので、田舎の夜も退屈することはありません。逆に静かな自然環境のもとで、町民同士が、あるいは地球市民同士がネットワークコミュニケーションを楽しめるまさに最高の贅沢な「地球村」空間となっています。勿論今は自動翻訳ソフトのおかげで、日本語だけで世界中の人々と話が出来るので、毎夜我が町の自慢話を世界中の人々とするのが楽しみです。特に地上最後の楽園、インド洋に浮かぶセイシェル島の子供たちとの話が楽しい。五色町の子供たちとの交流ももう10数年続いています。町中至る所に太陽電池の街灯が設置されているので夜も明るく、同時にソーラーパネルでの発電も行っているので、エネルギーを島外に依存する必要もあまりありません。こうした、緑豊かな環境が人気を博し、町にはソーラーテクノロジー、マルチメディア、エコロジー産業等の新しい情報・グリーン企業が次々に参入してきています。農水産業の第1次産業と情報サービス産業の第3次産業が見事に共存する21世紀の理想的住環境空間となっています。おかげで町民の所得は全国でも有数の高さにあり、町民は豊かな生活を楽しんでいます。

みんなの力で築き上げたみんなの五色

その結果、五色町は今では全国でももっとも住んでみたい町・訪れてみたい町のナンバー1となっています。また、文化と自然の香りのする町、未来の夢を見る町、一度は訪れてみたいあこがれの町、そこでショッピングをゆったりと楽しめる高級な町となっています。大都会の近くにこんな公園のなかの街があるとは信じられなません。数十年前に出来た明石海峡大橋のおかげで、淡路島の北部は神戸のような都会に様変わりし、以前ののどかな瀬戸内の島のイメージはすっかりなくなり、逆にゴミゴミとした醜い町になってしまいました。お隣の町一帯は10数年前に不法投棄の産業廃棄物が見つかったものの、日本中ゴミ捨て場のない状況では行き場もなく、そのまま放置され、呪われた場所として誰も近寄ろうとしません。周辺は水質汚染の影響で野菜も米も作れないし、また作っても売れなくなってしまっているのです。
幸い五色町は私たちの曾爺ちゃんや婆ちゃんの血のにじむような活動と英知で、天神山等の乱開発も免れたし、産業廃棄物汚染、ダイオキシン汚染、環境ホルモン汚染もなく、今では五色町の野菜や米は日本でも一番の人気商品となっています。今世紀前半に襲った地球規模での食糧危機による大混乱にも巻き込まれることもなく、おかげで無事に過ごすことが出来ました。
私たち五色町民は、こんな町で静かに元旦を迎えることが出来ることを本当に幸せに思っています。

こんな素晴らしい町を私たち未来の子供たちにプレゼントしてくれた曾爺ちゃんや婆ちゃん、本当にありがとう。
                

      

五色ユー太&ユー子



いかがですか。こんな未来の五色町を私たちと一緒に創造してゆきませんか。未来の子供たちにプレゼントしてあげませんか。先祖からいただいた大切な自然の恵みをさらに豊かにして未来に継承してゆきませんか。

淡路UU21平安の郷づくり協会

 会長 上木 正信